希望とは違うところに配属
事例1:総合病院で病棟勤務をしていましたが、結婚を機に夜勤のない職場で働きたいと思い、内科の外来の求人に応募しました。しかし入職後に配属されたのは、内科の病棟勤務。当然夜勤もありました。聞いていた条件と違ったので、看護師長に外来に配属してほしいと相談したのですが、病棟勤務のスタッフが急に退職したので人員が足りないからと、希望を聞き入れてもらえませんでした。(27歳・女性)
ほとんどの病院では、求人を出す段階で配属する診療科が決まっています。今回の事例では、突発的な退職者が発生し、人員配置にトラブルが生じたためのものと考えられます。
このような事態を防ぐためには、書類や面接時で自分が希望する配属先と、希望する理由をしっかりとアピールすることです。そして念のために、入職後の働き方を確認しておくことも大切です。質問をしてみると、求人票の条件とは違う実態が浮き彫りになることもあります。
上がらない給料、不十分な社会保険・福利厚生
事例2:とても多忙でハードな職場で働くのに疲れ、求人票に「スタッフが充実しており休日確保できる」と記載されていた病院に応募しました。実際に忙しくはなかったのですが、基本給が低く、夜勤の回数も減ったため、以前の職場よりも収入が激減してしまい後悔しています。(25歳・女性)
一つの条件を満たすと、別の条件が満たされないことは多々あります。このケースでは、多忙さは和らいだけれど、その分収入が減ってしまったというパターンです。給与の金額は前職と変わらなくても、夜勤の回数が少ない、手当ての金額が低い、ボーナスの支給額が少ない、社会保険の控除額が多いなど、さまざまな条件で収入が下がることがあります。給与額だけでなく、福利厚生や賞与、夜勤の日数など多角的な視点から収入面を確認しましょう。
常勤看護師が全員退職
事例3:面接では「一人欠員が出るので、求人を出した」と聞いていたのですが、実際に入職してみたら常勤看護師が全員一斉に退職し、残ったのはパート勤務のスタッフだけという状況に…。引き継ぎもなく、何をすればいいのかわかりません。患者さんに質問されても満足に答えることができず、ほとほと困りました。(35歳・女性)
転職したら、自分以外の看護師が全員退職してしまった…。そんな事例があるのかと驚かれる方がいるかもしれませんが、実はそれほど珍しいケースではありません。特に小規模な病院やクリニック、介護施設など、看護師の人数自体が少ない職場では、このような事態は起こり得るのです。
スタッフの突然の退職は事前に察知するのが難しく、防止策が取れないのが難点です。経験豊富なキャリアアドバイザーなら、働いている看護師さんの様子を観察することで、辞めそうかどうかをある程度察知することができます。ベテランのキャリアアドバイザーに付き添ってもらい、職場見学を行うことをおすすめします。
オンコール勤務はないと言われていたのに…
事例4:総合病院の勤務から、訪問看護ステーションに転職しました。面接時にはオンコール勤務はないと聞いていたのですが、実際はオンコール対応も勤務内容に含まれていました。オンコールが免除されるのは非常勤のスタッフのみなので、オンコール対応をしない人は、ボーナスがありません。ボーナスや退職金のことを考えると非常勤勤務に変わることは難しく、後悔しています。(32歳・女性)
オンコール対応の有無は、入職までにはっきりと伝えられるのが一般的です。今回の事例は珍しいケースで、職場側が求人を確保するために意図的に、オンコール対応があることを隠していたのかもしれません。このようなケースもありますから、オンコール対応を受けずに働けるのか、その場合は待遇面で不利になるのかについても、確認しておきましょう。
未経験OKなのに教育体制が整っていない
事例5:未経験でもOKと求人票に書かれてあったのに、実際に働いてると、教育制度が整っておらず、何も教えてもらえませんでした。明らかに看護師の人数が少なく、誰もが業務をこなすのに精一杯で、新人教育を行う余裕がないのが実情でした。みんなが忙しそうにしているので、こちらから質問をするタイミングもなく、右往左往するばかりです。事前に看護師教育について確認しなかったのが、失敗の原因だと思います。(24歳・女性)
「未経験でもOK」と求人票に書かれていると、当然、教育制度が整っているのだろうと考えます。しかし実際は、「人手不足なので未経験でもいいから応募してほしい」という病院もあります。未経験OK=教育制度が整っていると早合点せず、どのような看護師教育が行われているのかを確認することが大切です。
看護師も介護士も足りない
事例6:総合病院勤務から介護施設に転職しました。まず、スタッフが定着しない職場であることに驚きました。スタッフがすぐに辞めていき、常に人手不足の状態です。看護師だけでなく、介護士の人員も足りず、新しい人材が補給されてもすぐに辞めていくの繰り返し…。一人当たりの業務負担がとても大きく、ミスや事故が発生するのではないかと心配で、私も結局辞めてしまいました。(33歳・女性)
求人票だけでは、実際の職場の状態はわからないものです。現在働いている看護師や介護士の人数を確認しましょう。極端に人員数が少ない職場は、退職率が高い可能性があります。
未経験なのに教育体制が整っていなかった
事例7:看護師としての経験を広げたいと思い、これまで未経験だった循環器内科へ転職しました。「職域が未経験でも、看護師の実務経験があればよい」と聞いていたのに、実際に入職すると、周囲から「未経験者は迷惑だ」と白い目で見られてしまいました。教育制度もなく、プリセプターもいません。みんなに溶け込めず、仕事も教えてもらえないため、結局退職しました。(26歳・女性)
未経験者を受け入れる病院は多いのですが、未経験者でも職場に溶け込める環境が整っているかが、転職先を選ぶポイントとなります。未経験の診療科への転職では、教育体制の充実はもちろんのこと、先輩ナースが新人ナースを歓迎するアットホームな職場が望ましいでしょう。
事前に患者数に対する看護師の数をチェックするなどして、未経験の新人が入っても、受け入れ体制が整っているかを確認しておきましょう。