美容クリニックは看護師の転職先として人気が高い
近年の美容医療ブームを受けて、美容クリニックへ転職を希望する看護師が増えています。基本的には病床を持たず、完全予約制で診療を行うため、残業や夜勤などはありません。規則正しい勤務時間で働きたい看護師にとっては、この点が大きな魅力と言えるでしょう。
看護師にとってはつらいこともある
美容クリニックで実際に働いてみると、看護師にとってはいくつかつらいことがあります。どんな点をつらいと感じるのでしょうか?
つらいこと1「看護スキルが低下する」
美容クリニックで看護師が行う業務は、基本的に医師のアシスタントです。注射や点滴など、看護師に求められるスキルを活かすことはできるものの、病棟勤務をするような頻度でこうした作業を行うわけではありません。また美容クリニックの中には、点滴や注射を必要とする施術に対応していない所もあります。その場合には、看護師が臨床現場で求められるスキルという点では、どうしても低下してしまうことが懸念されます。
ずっと美容クリニックで働き続けるなら、それでも良いかもしれません。しかし、いずれは別の診療科目への転職を視野に入れているのなら、臨床現場で働く看護師と比較すると、どうしても看護スキルの点で不利となり、転職の際にもマイナス評価されるリスクがあるでしょう。
つらいこと2「キャリアアップしづらい」
一般的な病院で働く看護師よりも一般的な医療に関する業務が少なくなるため、スキルアップができず、キャリアアップにも繋がりづらくなることがあります。看護師としてのキャリアアップを計画している人にとっては、美容クリニックで働くことはマイナスとなってしまうリスクがあります。病床を持つ一般的な医療機関の中には、美容クリニックでの勤務経験をカウントしないというところも少なくありません。
他にも理由はありその対策もありますので、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
つらいこと3「営業ノルマがある」
全ての美容クリニックが該当するわけではありませんが、クリニックによっては看護師に対して院内で販売している美容化粧品の販売ノルマを課している所があります。無理せずに商品が飛ぶように売れれば理想的ですが、必ずしもそうとは限りません。場合によっては、売り上げの取り合いが看護師の間で勃発してしまったり、ノルマを達成できないことに精神的なストレスを感じることもあるでしょう。
クリニック選びを間違えてしまうと、こうした看護師として求められるスキル以外の部分でつらい思いをすることもあります。
つらいこと4「休みがとりづらい」
美容クリニックでは基本的に少ない看護師数で対応しています。しかも土日に施術を希望する患者さんは多く、美容医療はサービス業だと考えて土日や祝日などでも診療するクリニックはたくさんあります。そうしたクリニックで働くと、週末や祝日に休めず家族とすれ違いの生活になってしまうこともあるでしょう。
また勤務する看護師の数が少ないため、休みたいと思ってもなかなか休めないケースも多くあります。休みたいときに休みやすいという点では、美容クリニックは理想的な職場ではありません。
つらいこと5「仕事を覚える機会が少ない」
美容クリニックは、意外と上下関係が厳しい職場です。新人看護士が施術の練習をしたい時には、先輩看護士に指導してもらう必要があるわけですが、予約状況を確認しながら、練習したいので時間を作ってもらえるようにとお願いをしなければいけません。一般的な医療機関の場合には、先輩看護士の看護を見ながら覚えていったり、先輩看護士が指導役として配置されるためいろいろ指導をしてもらえます。しかし美容クリニックの場合には、自身で積極的にスキルを身に着けるための努力をしなければ、誰も声をかけてくれません。
つらいこと6「クレーム対応をしなければいけない」
美容クリニックでは、患者さんからのクレームがほかの診療科目よりも多く、その対応は看護師の職務となっています。例えば、期待通りの効果が出ていないというクレームや、期待していたイメージと違うというクレームもあります。また、施術後に患部が腫れたり赤くなったというクレームも少なくありませんし、場合には火傷など早急な手当てが必要なクレームもあります。
電話でのクレーム、来院してのクレームなど、いつクレームを受けるかは誰にもわかりません。話を真摯に聞くだけでは済まないケースもあるため、そうした対応に神経をすり減らしてしまう看護師も多くいます。
美容クリックの仕事は誰に向いている?
美容クリニックでの仕事は、美容の施術が大好きな人だけでなく、美容に関する知識やスキル、商品に興味があって積極的に学びたいという意欲がある人に向いています。今後のキャリアやライフステージを慎重に考えた上で、計画的に働くことをおすすめします。